「クローサー」は気楽に見れる映画ではない。しかし重要なメッセージを送りこんでいる。これは日本人の無邪気な(幼稚で、事実を見るのを嫌がる)人間観を、刺し貫く映画だ。
 秘密は墓場まで持っていけ。嘘は死ぬまで吐き続けよ。所詮、人間は真実に耐えうる存在ではない。日々、嘘と秘密の上に橋を架け合いながら、暮らしていけるだけ。
 そう、これは相当に、タナハ(聖書)的な映画だ。それらしい言葉は一言も出ない。出るのは、露骨で、どぎつい、性的表現ばかり。それでも、この映画の作者は、人間世界が、非完全に出来ていることを熟知している。
 「不完全」ではない。「非完全」なのだ。
 「不完全」は完全な世界がどこかに、または未来に存在していて、今はまだ到着していない、というニューアンスがある。
 「非完全」とは人間は「完全」から完全にシャットアウトされて、あがいても、待ち望んでも、完全な社会は、存在しない、来ることもない、という認識を示す。
 実に大人の認識で、すべてを見、聞き、味わい尽くした、文明の人間観、世界観だ。このような人は現実を見るのを怖がらない。死、破滅、終末を、見えない、そんなの存在しない、と目をそらすことはない。
 この映画はそんな「非完全」世界の不条理を知りながら、生きる四人の男女を見事に描く。この密度はおそらく舞台劇を映画にしたからだろうか?
 ??∞∞(*_*)∞∞∞∞?????∞∞(*_*)∞∞∞∞???
 この映画のネシャマー度は ★★★

http://www.neshama.info/ (ネシャマー王国)
 http://www.geraldschroeder.com/ (シュローダー博士のHP)

コメント