この映画、最初は一体何が起こったのか、と新しいホラーを期待させる。しかし最後は失速。なぜ?得体の知れない何者かが実験していたらしいが、その何者かが分からない。どこかの宇宙人らしい。
 宇宙人ならどんなことでも出来る。それは幽霊やお化けと同じで、現実に存在するのかしないのか、誰にも分からない。証明できないものだ。だからどんなに荒唐無稽な物語でも作れる。結果は迫力のない御伽噺だ。
 『リング』と同じでちっとも怖くない。これが怖いというのはお化け、幽霊を怖がる子供の精神状態に留まっている人といえるかも。
 本当のホラーを描いた名作がいくつもあった。『激突』『サイコ』『バード(鳥)』『エイリアン?』『戦火の彼方』『シンドラーのリスト』などなど。
 共通しているのは人間に潜む「闇」を描いていること。しかも普通の人間が落ちこむ底知れぬ深淵の闇を観客は知らされる。これが怖い。
 その最高傑作はスピルバーグの『激突』だろう。どこまでも追いかけてくるトレーラートラック。これがいろんなものに見えてくる。ナチス?悪魔?心の闇?狂人?しかもこの運転手、人助けをしたり、結構優しい。顔は最後まで見せない。ちらと見える腕もマッチョではなくほっそりと優男みたい。
 日常生活の傍に潜む異常性。これが恐怖なのだ。なぜか。光は闇から生まれ、秩序は混沌から生まれたからだ。光も秩序も、誕生時のぬめりとして、闇と混沌を引きずっているからだ。日常性は狂気の遺伝子を抱えている。
 「神は闇を創造し、光を形成した」。(イザヤ45・7)
 現代科学も同じことを示している。ビッグバンのブラックホールから宇宙の拡大と温度低下に伴い、光子が解放されて、光が現れた。
 最初に闇と混沌があり、それから光と秩序が生まれる。自然のままにしておけば、闇と混沌に戻るだけ。
      ネシャマー度 ゼロ 娯楽性 ★

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  http://www.geraldschroeder.com/ (シュローダー博士のHP)

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