アブラムは将来のエルサレムに向かい旅を続けた。ここに一ヶ月、かしこに一ヶ月、と滞在しながら。

 滞在している地域に飢饉が起こった。それでアブラム一行はエジプトに向かった。エジプトに入る前、彼は妻サライに言った。
 「あなたは美しい。これから入る国の人々は黒く醜い。あなたのような美人を見慣れていない。あなたを欲しがり、私を殺して奪うだろう。だから私の妹だと言ってくれ。そうすればあなたに求婚し、私を大事に扱うだろう」

 アブラムはエジプトに入るとき、サライを箱に入れて鍵をかけ「衣装と宝石です」と税関の役人に言ったが、役人は「箱を開けろ」と命令した。箱を開くと全エジプトが彼女の美で輝いた。
 彼女はエバの美しさをそのまま受け継いでいた。エジプト人は彼女を見て欲望に燃えた。しかしファラオ(エジプト王)の役人が「彼女は王にこそふさわしい」と宮廷に連れて行った。

 アブラムは妻を救ってくださいと神に祈った。サライも祈った。
 「あなたの命令に従いアブラムは父の家を離れ、故郷を離れ、旅に出ました。私も従いました。しかしご覧ください、このようなことが起こりました。『永遠』よ、今こそ敵の手から救ってください」

 『神』は天使を遣わした。天使はサライの命令に従った。
 ファラオは彼女に付きまとった。サライは天使に「撃ちなさい」と命令した。すると天使はファラオを売った。ファラオは不能になった。彼女の履物に近づいた者も撃たれた。家の柱も梁も撃たれた。

 皆、叫んだ。
 「あの女のせいだ。アブラムの妻のせいだ」
 ファラオはアブラムに言った。「なぜおまえは「彼女は私の妻です」と言わなかったのか。さあ、妻を連れて立ち去るがよい。ここは危険だ。エジプト人は淫乱だから」
 ファラオは贈り物を持たせ一行を去らせた。

 エジプトの偶像礼拝はネシャマーを沈黙させる危険があった。

 オホリバア(エルサレム)は
 姦通を露わにし、裸を露わにした。
 ゆえに我が魂は、
 姉(サマリア)から離れたように、
 彼女から離れた。
 彼女は姦通を重ね、
 エジプトの地で姦通をした
 若い日々を思い出した。
 ロバの肉体、馬の男根、
 そんな物を恋い慕い、
 彼らの情婦になりたくてうずいた。
 こうしてお前は
 若い時の乳房ゆえに、
 エジプトで胸を抑えられたときの
 みだらな行為に憧れた。
      (エゼキエル二三・一八―二二)

 偶像礼拝の大群はアダムの子らを取り巻き、隙を見せれば呑み込もうとしている。この状態は昔ほどでないにせよ、今も変わらない。

  http://www.neshama.info/ (ネシャマー王国)
 http://www.geraldschroeder.com/ (シュローダー博士のHP)( 英文)

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