ヘブライ聖書は永遠=無時間の視点で書かれている。

 時間は光の速度に近づくほどのろくなり、光の速度で停止する。

 仮に光速宇宙船が十万光年のかなたから地球に到達したとしよう。地球時間では十万年が経過したが、光速宇宙飛行士の時計は一秒も動いていない。

 彼が十万年の地球上の歴史を見たならば、どのように映るだろうか。過去も現在も未来も無い、すべてが「永遠の今」として存在する。それは時間を超えた永遠の「神YHVH」の視点でもある。「はじめから終りのことを告げ」(イザヤ四六・一〇)、「わたしはYHVH。終りと共に初め。わたしはそれ」(イザヤ四一・四)とあるように。

 ヘブライ聖書とラビ文献はこのような視点で書かれている。
『ミドラッシュ・ラバー・ジェネシス』四四・二二に次の記述がある。

 ほむべき聖なる方の言葉はすでに成就された行為に等しい。「おまえにこの地を与えるだろう」ではなく「おまえにこの地をすでに与えた」(創世記一五・一八)と書かれている。「主が敵の手から贖う人々」ではなく「すでに贖った人々」(詩篇一〇七・二)と書かれている。「わたしは口笛を吹いて彼らを集めるだろう。わたしが彼らを贖うであろうから」ではなく「わたしはすでに彼らを贖ったから」(ゼカリア一〇・八)と書かれている。「そして主は昼間に雲と煙を創る」ではなく「すでに創った」(イザヤ四・五)と書かれている。それははるか以前に創られ長い間出番を待っていたのである。

 このような視点を持つ、いわば宇宙外知性ともいうべき存在をヘブライ聖書はYHVHと記し、「アドナイ」と発音し、「主、ヤハウェ」などと翻訳されてきた。しかしジェラルド・シュローダーはYHVHを 「the Eternal(永遠)」と英訳している。またイスラエル発行の「祈祷書」も同じ訳語を使っている。この訳語は科学時代に生きる現代人の感覚にふさわしいと思われる。

 http://www.neshama.info/ (ネシャマー王国)
 http://www.geraldschroeder.com/ (シュローダー博士のHP)( 英文)
 

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