『神』はカインの額に自分の名前の頭文字を刻み付けた。

 それは英語のYに当たるヘブライ語のユッドである。
 ユッドは小さな縦の線、もしくは英語のアポストロフィーのように見える。

 カインの額には深い縦皺が刻まれているように見えた。

 その皺から深淵の闇が噴出していた。人々はそれを感じて、カインを見ると身を引いた。カインを傷つけるものはいなかった。

 しかし女性はその闇に深い憂愁を感じ、彼に引かれた。そして交わった。

 こうしてネシャマーを非ネシャマー人に広げる『神』の計画の一端をカインは担ったのである。

コメント